暮らしの「なごり」は美しい
レトロな銅のやかんを修理しました。
使い込んだやかんには大小さまざまな暮らしの「名残」がついています。
古いものが好きな人はこれをマイナスには取らず、「味」として美しい景色ととらえます。
古いものを修理するのは、ただ修理したら良い、使えるようにすれば良いということではないと思います。
美意識を持って修理しなければその修理したものは活きてきません。
本来、経年変化でついた「味」が全体の調和をみて修理しないとただの「キズ」で終わってしまう。とても残念なことです。
長く使える道具は時間がつくる「味」を最大限に残しつつ、使用に耐えないところを見極めて修理して、気持ち良く使えるようにしなければいけないと私はおもいます。
「鳥羽大庄屋かどや」近くにある「クボクリカフェ」の店主が大切に使ってくれています。カフェ・ラテ美味しい。
|修理前と修理方法
持ち手がネジで留めてあるきわのところまで焦げていてガタガタするので持ち手を作り直した。
持ち手の材料には桜材を使用。桜は水に濡れてもあばれにくく、密度が高いので堅く粘りがあるため細工しやすい。
木工にはとても都合の良い木材なのである。
なお、素地のままだと濡れた場合、シミや手垢で汚れてしまうと美しくないと思うので表面処理として拭き漆をしてある。
銅の表面は新品磨きにはしていない。時代の味を残すように汚れを落とした。
使用に支障のない程度の小キズやへこみはそのままにしてある。
持ち手は桜の角材をカンナで丸みをもたせた。拭き漆前。
拭き漆をした持ち手
桜材の色を残すために拭き漆の色は明るく仕上げた。
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