【金継ぎ】陶製 お香立て
金継ぎ: お香立て、薫銀粉仕上げ。
器に調和させて金継ぎした。
預かった当初91歳の方から友人を介して依頼を受けた。
このお香立ては、既に他界された娘さんの手作り品で、とても大切にされていたのをご本人が不意に落として割ってしまった。この時、20年来共に暮らした猫ちゃんも亡くなり、本当に本当に悲しくて、生きる力もなくなっていったという。
私は元気になってほしい一心で、祈る気持ちを込めて金継ぎを完成させた。作業に入る前には心の中で娘さんに挨拶をしてうまくいくよう助力してもらっていた(自分の思い込みですが)。
金継ぎ完成品を手渡した時、しばらくじっと見つめておられて、声も出ない程よろこんでくれた。
心と心がしっかりつながったように感じ、私は大きな充足と安堵で胸がいっぱいになった。本当に、やってよかった。
金継ぎ前
お香を置く皿はバラバラに割れて、小さな破片は損失していた。
途中経過
漆を塗布した上に地の粉をふりかける蒔き地や錆漆をつけて欠損部を成形していく工程。
薫銀粉を仕上げに使うため、黄色と白を混ぜた色漆を塗布しているところ。この漆が半乾きの時に粉をふりかける。
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