【金継ぎ教室】スープスプーンを拭き上げる【生徒修繕】8
横浜在住の時、近所に建築家をリタイヤ後、趣味で木工細工をしているおじいさまがいらして、その方に頼んで形も生徒さんと相談して仕上がった唯一無二のもの。
木材はけやきを使用していて木目が美しい。
曲線を描く持ち手がとても優雅なスプーン。
15年以上使っているそうで、工房へ持ってきたときは表面に塗装されたウレタン塗料が剥がれかかって傷んでいた。
拭き漆をしたら色艶も出て、作ってもらった当初より美しくなったと生徒さんは大喜び!
私もとてもうれしい。
|修繕前と修繕方法
スプーン表面のウレタン塗装を全て取り除き、素地の上から漆を擦り込んでいく『拭き漆技法』をほどこした。
『拭き漆』名前通り、漆を布で擦り込んではその上から拭きとっていく。拭き取る時は完全に拭き取る、拭き残しがあるとムラができて美しくない。1回ごと室(むろ)に入れて漆を固める。毎回毎回微量の漆が層になって回数を重ねるごとに艶やかに輝きだす。
『拭き漆』はとても贅沢な技法だ。
欲を出して拭き取りを甘くすれば早くできるが、全体にしまりがなく品のない仕上がりになってしまう。
常によく観ることが大事だとおもう。
今回は7回拭き漆を行った。
向かって1番右の取り分けスプーンは東南アジアのもので、同じくウレタン塗装を全て取り除き7回拭き漆を行った。
5回目の『拭き漆』を行うところ。
0コメント