金継ぎ入門WORK SHOP 第5回
今回は炭を使って余分な錆漆を削る作業をしました。
塾生からは、炭を使うことは聞いていたけど、どうやって使うのか、炭で削れるのか疑問に思っていたが誰にも聞けなくて今日やっとわかったと喜ばれた。
それを聞いて私もうれしくなった。
私は金継ぎで使う研ぎ炭を自分で作るのだが、何故自分で作るのか(炭は漆屋さんに売っている)、そして昔から研ぎ炭として使われている木材は偶然ではないだろうと仮定し、どうして他の木材ではダメなのか、いろいろな種類の木材で炭を作り比較実験したことなどについて話し、修理道具についても理解を深めてもらった。
ただ言われたことだけをやるだけでは、わかったように思えるだけで実質的に身につかない。
何よりもカラダに染み込む「理解」が技を自分のものにしていける近道だと思う。
教えるほうも真剣に正直に相手の言葉をきかなければならない。
教えることは自分の学べびを深めることでもある。これに尽きる。私も成長しているんだ。うれしい。
炭の作り方の話になって、今頃の季節、茶の湯では季節感を重んじて風炉から炉に替わる10月に夏の名残の風情をあらわす「中置の炭手前」のことを話してくれた。このとき使用するものが稲藁で作った炭だという。
金継ぎに来て、茶の湯の世界観を学べた。
ああ、今、人との交流の楽しさや素晴らしさを実感する。ありがたい。
塾生写真提供
やぶれ風炉といって、鉄が朽ちていくさまを表現している。
10月ころ夏の名残の茶事でもちいるという。これから季節は秋冬へと移り変わる、ちょっぴり寂しい「ものうげ」な感覚を鉄が朽ちていくことに見立てて日本文化特有の「侘び寂び」を形つくっている。
0コメント