「金継ぎ」=「漆継ぎ」
器の修理方法のひとつ「金継ぎ」
「金継ぎ」と呼ばれる前は「漆(うるし)継ぎ」と呼んでいた。
読み方は「きんつぎ」。
「かねつぎ」と読んで、全てを金属で修理していると思う人も少なくない。
金粉を蒔いた仕上げは、金の塊をはめこんでいると見間違うほど見た目では判断しにくいものになる。
金粉の薄い膜の下は漆で、天然素材では最強の接着剤である、その接着力で修理されているのだ。
私はよく漆を加飾に使う。
時代が進んで生活スタイルも多種多様になり、器の釉薬も発展してきたので、金粉だけの加飾は物足りなくなってきている。
漆の加飾は、金粉とはまた違った魅力があると思う。
その昔、銀山にめぐまれ、銀が主役だった日本で、どのような美的効果をねらって金を使ったのだろうか。少なくとも、金は珍しく、さぞ人目を引いたに違いない。
しかし、現代では金色は珍しくもなんともない。
あまりにも一般的な色になっている。そう考えると、器の修理に金を使うしかないという考え自体奇妙におもえてくる。
「とりあえず金を使う」、だけでは創意がない。
修理箇所を"景色"と呼ぶ日本独自の美意識に支えられた「金継ぎ」であるからこそ、創造的な冒険が求められる、とおもう。
修理前と修理後
修理前の器は経年使用によりヒビが入っているところに汚れが染み込んで茶色に変化していた。
まずは、その汚れを漂白剤につけて落とす。この作業が行えるのは、修理する器が漂白剤につけても可能なものに限る。
修理後
ヒビの加飾には、ベンガラ色の漆でしあげた。
高台の欠けには写真で見ると黒色みたいだが、艶ありの濃い青緑色で仕上げている。
修理前と修理後
修理前の器は欠けが1ヶ所あり、破片は紛失している状態。
修理後
仕上げの加飾には青系の色(色味は自身で作る)をぬり、欠けのあるところのたこ唐草模様に合わせて動きのある模様を描く。
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