木製台所用具の救世主
救世主とは「拭き漆」のこと
金継ぎ塾では、漆を使った技法で、「金継ぎ」の他に「拭き漆」も学ぶことができます。
写真は、けやきのスープスプーン6点と東南アジアの取り分けスプーンに拭き漆技法を6回以上繰り返したもの。
「拭き漆」とは木に漆をすり込んで、何層にも重ねていく技法です。
「先生の塾では、金継ぎができる、それだけじゃなくてこんな風にキッチン用具がよみがえる、と大大的に知らせる方がいいですよー」と、生徒さんが提案してくれました。
「金継ぎやってみたくても壊れた器がない、金継ぎするまでもない、等の理由であきらめるしかなかった人でも「拭き漆技法」で、木製生活用具が見ちがえるように蘇る、そんな方法があればやってみたいと思う」と。
現にこの塾生も、金継ぎ塾に来なければ「拭き漆技法」に出合えなかったと言っていました。
その通りで、食の生活空間において、漆の活用法は金継ぎだけではないことを知ってもらいたいと思っています。
この気持ちから、私は金継ぎ塾の余った時間で、家庭にある木の用具たちを再生させる方法「拭き漆技法」も塾生に教えています。
天然漆の良さを知ってほしくて、『暮らすこと』と結びつけて金継ぎを教えていますが、それと同時に拭き漆も教えているのです。
この方法を使うと酷使された木製のキッチン用具たちがイキイキと生まれ変わります。
新品の時よりも味のある用具に生まれ変わるのです。
これには皆さん驚かれます。
一般に、人は漆という素材に馴染んでいないので、漆を特殊なもの、日常的でないものと見てしまいがちす。
それは残念なことです。
この「拭き漆技法」は漆を生活の中に取り込む、手軽なファーストステップになるはずです。
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