お箸の国にうまれて

お店でサラダが出ると常にフォークで食べていました。ある時、ブロッコリーをフォークで刺した感覚と突き刺さったブロッコリーの見た目が怖くてそれからはお箸が用意してあるお店では進んでお箸を使うようになりました。
お箸っていいね!万能です。
木の無駄遣いと言われたりしたけれど、間伐材を利用しているから大丈夫だとわかってからは安心して使っています。
中国北京でも私のいたオリンピック前後くらいから環境に配慮してマイ箸を持つという人たちがあらわれました。
今はどうなっているのかしら。

写真のお箸は吉野杉で作られた利休箸に拭き漆がしてあります。
私の金継ぎ教室に来ている、茶道や花道そしてテーブルコーディネートと和洋にわたり精通している方から「お茶事で使った利休箸に拭き漆はできるか?」との問いかけがあり、杉箸に拭き漆をするとどのような色に仕上がるのかを実験しました。漆の量を変えたり、吸い込みを良くしたりといろいろ試しました。
写真の利休箸は漆原液に近い割合で拭き漆を6回しています。
見本を見た彼女は、木目が見える程度の濃さにした拭き漆にすることに決めました。
この箸を考案した千利休は、一期一会の精神からきっと2度3度と使うことは望んでいないでしょうね。
でもこのお箸、実際使ってみて、軽くて指が当たるところは適度に四角で持ちやすい。そして拭き漆の箸先が唇に触れる時がサラッとしていて気持ちいい。欲を言えば、杉の真新しい香りが残っていてくれたらなおうれしい。杉箸なのに香りは漆に封じ込まれて出てこないのは残念。
彼女のように、数回使用して香りを楽しんでから拭き漆するのが良いでしょう。
取り箸として器に添えても雰囲気をこわさない粛々とした趣きがあります。
利休箸とはそういうお箸です。

即席麺も品良く見えるでしょう。

|拭き漆をする前と途中経過


拭き漆をするまえに320で空研ぎをする。
素地の状態。杉の香りがただよう。
漆原液に近い割合で拭き漆を1回かけたもの。
拭き漆3回目で1度400番で研ぐ。合計6回拭き漆をした。
無垢の杉材なのでひとつとして同じ木目はないのが個性あっておもしろい。

FIVETREES

ファイブツリーズは三重県の太平洋が美しい伊勢志摩に工房を構えています。金属やべっ甲や漆などさまざまな素材を使用したオリジナルのジュエリー制作と陶磁器を金継ぎで修理そして天然の漆を使って器を中心に修理する金継ぎ塾とワックスを削って細工するジュエリー制作塾を開いています

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